2005.03.15

みる「音」

漫画は音が出ない。だから作者はそこのところを気にして書かないといけない。
たとえば、空き缶の入った袋を持ち上げたときは「ガチャッ」とか「ガラッ」であって、「ゴリッ」とか「サクッ」ではない。
「空き缶の入った袋を持ち上げる」場面にあった、適切な音を書かないと、それは空き缶ではなくなってしまう。
こういった「目に見えているものが出す音」は、おそらく誰にでも表現することが出来ると思う。
だけど「目で見えないものが出す音」の表現は、作者のセンスが問われるところだ。

たとえば松本大洋の「鉄コン筋クリート」ではビルの谷間の風の音が「ゴゴゴ…」等と表現されており、頻繁にコマの中に登場する。
この音は、建物だらけの宝町を吹き抜ける風を表現している以外に、宝町の危なさや緊迫感も表現しているんじゃないだろうか。
つまり、この音は宝町そのものなのではないかと思う。他にも、鉄コン筋クリートには面白い音の表現があった。
クロとシロが電車の屋根に逃げるシーンでは、コマの外に電車が走る音が書かれている。
これは、クロがあまりにも必死に逃げているので、クロには電車の音が聞こえていない…というか、クロにはそんな音はどうでもよくなっているから、コマの外に書かれているんじゃないかな。
コマの外という、キャラクターの手の届かないところに音を書く、この書き方はとても面白いと思いました。

他に音が面白いと思った漫画は「BLAME!」
1巻でキリイが雑嚢に詰め込んだ、奇妙な食べ物。(ファンの間では「シャキサク」と呼ばれている)
一見カロリーメイトのような食べ物ですが、「シャキ」「サク」という音からしてカロリーメイトではないことが分かります。
私はキュウリとカロリーメイトを足したような食感だと思ったんですが、こういう食感の食べ物はあまり想像出来ないですよね(笑)
この意外な音が独特の世界観の、現実ではお目にかかれないような食感を表現していますよね。
この漫画のすごいところはやっぱり建造物なんだけど、ただの建造物じゃないから、やっぱり凄い。
BLAME!の建造物からは「無音」が聞こえてくる。読んでいると、無機質で、生活感のない、ひんやりとした感じの音に包まれてしまう。
もちろん体感したことはないけど、コンクリの四角い箱に入れられたような雰囲気の音だ。
音を書いたわけでもないのに、絵だけで音を出してるように感じるのは、二瓶さんの描き方が巧いからですね。

文字で表現される音、絵からにじみ出る音…作者によって様々ですが、絵や台詞だけでなく音でも漫画を楽しんでみてほしいです。
posted by まめ at 13:03 * 千葉 ☁ * Comment(0) * TrackBack(0) * むくちをなおすほん

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